国際奉仕活動に思う

国際奉仕委員長 松井成樹

今年度、私たち京都東ロータリークラブは、国際奉仕委員会を中心として、フィリピン・セブ島にあるミンガラニア小学校を訪問し、百葉箱を寄贈する国際奉仕事業を実施いたしました。本事業は、クラブ創立70周年記念事業の幕開けを飾る大変意義深い取り組みであり、私たちにとっても忘れることのできない経験となりました。

訪問期間は9月14日から17日まででしたが、この時期のフィリピンはちょうど雨季の最中にあたります。幸いスコールには見舞われませんでしたが、湿度の高い空気に接し、フィリピンの人々が自然と共に生き、自然の脅威とも日々向き合いながら暮らしていることを強く実感しました。日本にいると、災害は「起きた時に備えるもの」と考えがちですが、現地ではそれがもっと生活に密着した、日常の中に常に存在する現実であることを感じました。

特にセブでは、その後もなお、過去の地震や台風による爪痕がさまざまな形で残されています。建物の傷みや修繕の跡、地域によっては生活インフラの弱さを感じさせる場面もあり、自然災害の影響が一時的なものではなく、人々の暮らしや地域社会に長く影を落としていることを目の当たりにしました。災害は発生した時だけが苦しいのではなく、その後の復旧や、元の生活を取り戻すまでの長い時間の中にも大きな負担があることを改めて考えさせられました。

このような環境の中で暮らす子どもたちにとって、気象や自然の仕組みを学ぶことは、単なる理科教育の一環ではありません。天候の変化を知り、空の様子や気温、湿度に関心を持つことは、防災意識を高め、自らの命を守る行動につながる大切な学びです。今回寄贈した百葉箱は、もちろん観測機器としての役割を持つものですが、それ以上に、自然に目を向け、変化を知り、考える力を育てるための入り口になるものだと感じています。子どもたちが百葉箱を通じて気象に興味を持ち、やがて自分たちの地域の環境や防災について主体的に考えるようになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。

日本もまた、台風や豪雨、地震など多くの自然災害に向き合ってきた国です。災害の種類や規模に違いはあっても、自然の前では人は謙虚でなければならず、日頃から備え、知識を深めることの大切さは共通しています。その意味で、日本とフィリピンは似た環境にあると言えるのではないでしょうか。だからこそ、百葉箱の寄贈は単なる物品の提供ではなく、両国が共通の課題を見つめながら、教育を通じて未来を支え合う取り組みとして大きな意味を持っていると感じました。

現地で行われた寄贈式典には、教育省関係者やPAGASA(フィリピン大気地球物理天文局)の方々にもご出席いただき、たいへん温かい歓迎を受けました。多くの方々がこの事業の意義を理解し、共に喜んでくださったことは、私たちにとって大きな励みとなりました。そして何より印象的であったのは、子どもたちの歓迎の様子です。式典では、子どもたちが色鮮やかな民族衣装に身を包み、伝統的なダンスを披露してくれました。音楽に合わせて生き生きと踊るその姿は本当に美しく、会場全体が明るく温かな空気に包まれました。そのダンスからは、子どもたちの明るさや素直さだけでなく、自分たちの文化への誇り、そして私たちを迎えようとする心からの気持ちが伝わってきました。言葉が十分に通じなくても、笑顔や表情、しぐさを通して気持ちはしっかりと伝わるものだと、改めて感じました。私たちは支援に訪れたつもりでしたが、実際には子どもたちの純粋なまなざしと弾けるような笑顔に触れ、多くの感動と元気をもらったのは私たちの方でした。

今回の国際奉仕活動を通じて、私は、奉仕とは単に物を届けることではなく、その先にある心と心のつながりを築くことなのだと強く感じました。百葉箱という形あるものを寄贈することには確かな意義があります。しかし、それ以上に大切なのは、その寄贈に込められた思いや願いが相手に伝わり、そこから信頼や友情が生まれていくことです。教育を支えることは、今この瞬間の助けになるだけでなく、子どもたちの未来に希望をつなぐことでもあります。そして、その積み重ねこそが、国や文化を越えた平和と相互理解の土台になるのだと思います。

ロータリーの理念である「超我の奉仕」は、まさにこのような場面においてこそ、その真価を発揮するのではないでしょうか。自分たちのためではなく、相手の幸せや成長を願って行動すること。その行動が、結果として自分たち自身の心を豊かにし、新たな学びと気づきを与えてくれることを、今回の事業で実感いたしました。フィリピン・セブの子どもたちの笑顔、自然災害の中でも前を向いて生きる人々の姿、そして現地で生まれた温かな交流は、これからも私たちの心に深く残り続けると思います。

今回の事業は一つの成果であると同時に、これからの継続的な国際奉仕の出発点でもあります。現地とのご縁を大切にしながら、今後も教育支援や交流の機会を広げ、未来を担う子どもたちの成長に寄り添う活動を続けていきたいと考えています。日本とフィリピンの子どもたちが、いつの日か互いの国を理解し、友情を育み、両国の架け橋となってくれることを心から願っています。そして私たちもまた、ロータリアンとして、その架け橋づくりの一助となれるよう、これからも国際奉仕に真摯に取り組んでまいります。